「ささがきの恥」
今から5年ほど前の話。
当時イタリアはミラノで老淑女の家にホームステイしていた僕は、身の回りのことはひととおり自分でやっていました。たまに、家主さんと夕食を一緒にすることもありましたが、基本的には自分で料理をし、食べていました。
初めての海外生活ということもあり、語学学校やご近所さんとして知り合った、多くの日本人の方に言葉の面も暮らしの面も大いにお世話になり、たびたび食事に誘っていただく機会がありました。
外食もしましたが、その多くはどなたかのお宅に集まりみんなで料理をしながら、食べて飲んで、語りに語って楽しい夜を過ごすのでした。
その日は「煮物が食べたいね」という誰かの一言から、和食作ろうということになり、各々食材を持ち合い料理が始まりました。
急ごしらえのため、椎茸は熱湯でもどしダシをとります。にんじんは乱切り、大根をかつらむきして半月切りに。
順調に下ごしらえが整う中、僕が任されたのがごぼうのささがきでした。
毎日料理もしていたし、ある程度の自信を持っていた僕は、母がささがきをする姿を思い出しながら見よう見まねでやりはじめました。
できない。
厚くなったり、細長くなったり、短くなったり。全く思ったようにはできませんでした。
周りの方に可笑しがられながら別の役目に代えてもらい、もう恥ずかしいやら情けないやら…それでもちゃっかりご飯は美味しくいただいたのでした。
何を恥と感じるかは、その人がいる環境が大きく影響しますね。
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